第44期中間事業報告|2024.4.1~2024.9.30
証券コード8518
株主の皆さまにおかれましては、平素より格別のご高配を賜り、
厚く御礼申し上げます。
ここに、44期中間期のご報告を申し上げます。
当中間期は、営業収益が1,432百万円となり、親会社株主に帰属する中間純損失は△75百万円となりました。その結果、誠に遺憾ながら中間配当の実施は見送らせて頂きます。
株式の売却では、ファンドでM&Aによる国内の未上場株式の売却を実現しましたが、前年同期に比べて上場株式の売却は減少しました。一方、評価損や引当金では、事業の進捗が大幅に遅れている投資先からの損失が縮小しました。
プロジェクトの売却では、神奈川県厚木市の物流施設の売却による利益が計上されました。また、新たに稼働したメガソーラープロジェクトの売電収入が増加しました。その結果、前年同期に比べて12.9%増収となり、赤字幅が468百万円縮小しました。
通期の業績見込みに変更はありません。従来連結基準※で、親会社株主に帰属する当期純利益250百万円から950百万円を目指します。中間期までの進捗状況は、目標値の下限に対しては概ね巡航速度です。下期には、8月に売却された東京都江東区東雲の高齢者施設からのファンドの持分利益や、10月・11月に売却する障がい者グループホーム16棟による配当利益を計上します。また、期末までに太陽光発電所3件の売却も見込んでいます。
目標の上限達成には、国内で比較的投資金額の多額な未上場株式実現が必要となります。今後、売却候補先の開拓や、売却条件の交渉に注力してまいります。
※ 従来連結基準の説明及び決算の詳細については、決算発表資料
https://www.jaic-vc.co.jp/jir/jirlibrary/settle/index.htmlをご覧ください。
当社は2024年8月に中期経営計画を発表しました。
ここでは、計画に対する7つの質問を通じて、社長の丸山が分かりやすく解説します。
今回の中期経営計画では、ファンドの組成や融資(デット)の調達により外部資金を活用した投資を徹底します。これまでは、ファンドの設立ができなかったため自己資金による投資を行っていました。また、融資資金の活用を志向していましたが、徹底できていませんでした。
これからは、外部資金を調達できない投資は行わない方針です。外部資金を活用した投資を徹底して自己資金の負担を減らすことで、ファンドや投資資産からの安定したフィー収入を増加させると同時に、投資収益から得られる成功報酬(キャリー)によりアップサイドを追求し、財務基盤を強固にしながら収益の安定・拡大を目指します。
当社の行う投資は、プロジェクトの企画段階でのリスクマネーの供給であったり、新規性の高い事業への投資であるため、外部資金の調達には苦労が伴います。しかしながら、魅力ある投資機会であれば必ず外部資金を調達することが出来る、との信念を持っています。
そして当社には、魅力ある投資機会とするための競争優位性があります。これらと、私自身の過去のファンド組成実績やネットワークを組み合わせることで、これまで以上に大きな外部資金を調達できると考えています。
投資開発事業は、ファンドの組成や融資により資金を調達して、設備を保有するSPC(特別目的会社)に投資を行い、設備を建設した後、設備を運営または売却する投資事業です。 主な投資対象は、エネルギー(再エネ発電所、蓄電所)、インフラ(物流施設)、 ヘルスケア(障がい者グループホーム)等です。
投資運用事業は、企業の発行する有価証券を対象とする投資事業です。 当社の強みを活かしてファンドを組成し、上場株式・上場債券を対象としたバイアウト投資やPIPEsなどを行うほか、未上場企業へのベンチャー投資やバイアウト投資を行います。
ファンド・プラットフォーム事業は、子会社のジャイク事務サービス(JBS)が提供する、ファンド運営のミドル・バック業務のサービスです。 JBSは当社グループが運営するファンドのバックオフィス部門として長年に亘り蓄積したスキルと経験をもとに、プライベートエクイティファンド等の運営企業に対して事務受託サービスを提供し、20年以上の実績を有しています。
① 高インフレ・高成長
現在は、インフレ率・金利、経済成長・景気ともに高く、図の右上の環境です。企業の収益が拡大するので、上場企業の株式や社債などの投資採算が高まっています。そこで、当社の中期経営計画でも、この分野に注力します。具体的には、上場企業を投資対象とするファンドを組成し、機関投資家や事業会社から資金を調達して、 第三者割当増資などの手法で上場企業に投資を行います。
また、現在の日本経済の環境は、デフレからの脱却、円安の進行、米中対立を背景とした生産や研究拠点としての重要性が高まり、海外、特にアジアの投資家が、日本国内の有望なテクノロジーやベンチャー企業や上場企業に対して投資機会を求める時代となっています。これは、アジアでの知名度の高い当社にとって大きなビジネスチャンスです。当社は海外投資家に対して、ファンドを組成するだけでなく、投資家の希望に沿った投資候補先の発掘や企業調査、投資条件の交渉、企業成長支援、投資回収など、全てのサービスを提供します。
② 低成長・高インフレ
経済成長・景気が低迷してくると、図の左側に環境が移ります。
企業の業績が悪化する中でインフレに連動した利回りを生む実物資産、つまり、インフレに合わせて販売価格を引き上げることのできる資産の価値が上昇します。当社では、電力の販売価格が市場と連動するタイプの再生可能エネルギープロジェクトや、蓄電池などのエネルギー関連プロジェクトに投資を行い、この局面に備える計画です。環境負荷の削減に貢献するプロジェクトであることも、投資家に対するアピールポイントです。
③ 低成長・低インフレ
再びデフレ色が増してくると、実物資産、その中でも収益の確実性が高い資産の価値が上昇します。当社の行う投資では、安定した賃料収入が期待できる物流施設や障がい者グループホームのプロジェクトが、この局面に適しています。包摂的な社会の構築に貢献するプロジェクトであることも、投資家に対するアピールポイントです。
④ 高成長・低インフレ
経済成長・景気が好転し、再び企業の成長期待が高まります。また、金利が低いため投資利回りを確保できる機会が少なく、投資家のリスク許容度が高まり、ハイリスクでも成長期待の高いベンチャー企業の価値が上昇します。当社では、ベンチャー企業の株式を一定以上買い取ることで経営に関与しハンズオン支援によるバリューアップを行う「ベンチャーバイアウト」や、海外のベンチャーキャピタルやアクセラレーターと連携した投資を行います。国内では投資開発事業に関連する企業やテクノロジー/DX・海外展開/インバウンド等の分野に注力する方針です。
2024年10月、当社は、投資する16件の障がい者グループホームの譲渡を決定しました。
譲渡先は、グループホーム等を裏付資産としたソーシャルプロジェクトボンド(貸付債権を裏付けとする信託受益権)の発行により機関投資家から資金調達し、また、大手リース会社と大手不動産会社から匿名組合出資を受けた合同会社です。このソーシャルプロジェクトボンドは、株式会社格付投資情報センターから信用格付(BBB)およびソーシャルボンド・フレームワーク適合に関するセカンドオピニオンを取得しています。
この取引は、社会性の高い投資機会を求める機関投資家の資金と、障がい者支援分野の資金ニーズをつなぐ新規性に富んだ取り組みです。
当社にとっても、グループホームプロジェクトからの利益を得る新たなスキームの構築により収益機会を拡大することができたことに加えて、投資活動を通じてSDGsが掲げる「包摂的かつ安全でより住みやすい社会の実現」に貢献する、大変意義深いものとなりました。
2024年8月、当社は、㈱ジーエヌアイグループ、グロースパートナーズ㈱、それぞれと業務提携をしました。
㈱ジーエヌアイグループは、創薬に成功し製薬会社として成長した実績を持ち、中国及びその他の地域において独自の販売網も有しています。また海外投資家の資金を日本企業へつなげるだけでなく、投資先企業が保有する製品を海外市場に展開するための架け橋となることを目指しています。
この業務提携は、 同社のネットワークを介し、国内外の投資家の資金を当社のファンドを通じて主に国内企業へ投資し、また投資先企業の製品を同社やそのグループ会社を通じて海外市場に展開することにより、投資先のバリューアップを図り、日本だけでなくアジア・ 中国を含む地域全般の発展に貢献することを目的としています。
グロースパートナーズ㈱は、投資及びハンズオン支援事業を行う投資会社であり、ベンチャー投資だけでなく、上場企業(㈱タカキュー、㈱No.1、ランサーズ㈱)への出資やバイアウト案件を手掛けています。
この業務提携は、当社が計画しているファンドの組成に当たり、当社のファンド運営のスキルと、同社の投資対象の選定や投資先企業へのハンズオン支援のノウハウを掛け合わせて、ファンドのパフォーマンスを追求することを目的としています。
当社は、これらの業務提携を通じて社外のリソースを活用しながら、国内だけでなく海外投資家からも資金を呼び込み、新規にファンドを組成して効率性の高いエクイティ投資を行い、成長戦略を早期に実現することを目指します。
中期経営計画では、外部資金をどれだけ獲得できたかを表すAUMをKPIとしました。 投資開発事業と投資運用事業では、3年間で新たに獲得するAUMの金額を目標値とします。ファンド・プラットフォーム事業では、受託するファンドの資産残高(AUA)を目標値とします。
安定収益の拡大と投資収益の改善により業績を回復し、従来連結基準による2027年3月期の業績は、親会社株主に帰属する当期純利益で10億円を目指します。
※ 従来連結基準の説明及び決算の詳細については、決算発表資料
https://www.jaic-vc.co.jp/jir/jirlibrary/settle/index.htmlをご覧ください。
当社のPBRは1倍を下回る状態が継続していますが、その要因は投資利益率の低さと資産回転率の低さだと認識しています。そこで、PBRの改善に向けて、当社の資本コスト(約13.4%)並みのROEの実現を目指します。
具体的には、まず、安定収益を拡大します。フィー収入で固定費をカバーして黒字化を定着し、株主の資本コストを低減します。 次に、収益性を改善します。そのためには、長期滞留資産を早期に回収して資産を入れ替え、資産の回転率の改善を図ります。
同時に、アセットアロケーションと事業ポートフォリオの見直しも行います。そして、現在はリスケジュール状態にある借入金のリファイナンスを実現し、財務レバレッジを改善します。
IR活動も、より積極的に行います。
※ 上記の数値は全て従来連結基準です。
従来連結基準の説明及び決算の詳細については、決算発表資料
https://www.jaic-vc.co.jp/jir/jirlibrary/settle/index.htmlをご覧ください。
株主総会資料(招集通知等)の電子提供について
2022年9月1日施行の改正会社法により電子提供制度が導入され、株主総会資料は当社ウェブサイト等に掲載し、株主の皆様のお手元には簡易な招集通知のみをお届けできるようになりました。今後当社は、電子提供制度の認知状況などを勘案して、株主の皆様にお届けする方法を検討してまいります。 引き続き株主総会資料を書面で受領することを希望される株主様は、株主総会の基準日(2025年6月開催予定の定時株主総会については2025年3月31日)までに、(1)口座を開設されている証券会社等、または、(2)当社株主名簿管理人である三菱UFJ信託銀行のいずれかにお申し出いただき、お手続きいただきますようお願いいたします。